2025. 06 / 07 (土)
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【赤垣屋(天満)】天満エリア昭和20年代創業、半月型カウンターは当時のまま。おでんのダシを継ぎ足し続け70年“時の味”が楽しめる。

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 大阪市北区、下町情緒あふれる天満エリアで、「赤垣屋」は昭和20年代に創業した老舗の立ち飲み酒場です。戦後まもない復興期から営業を続けるこの店は、天満で働く人々や常連客に愛されてきました。特に印象的なのが、創業当初から店を見守り続ける「半月型カウンター」。これは、客と店員の距離を物理的にも心理的にもぐっと縮める効果があり、初めて足を運ぶ人でもすんなり輪に入れる大衆酒場ならではの設計です。テーブル席とは異なり、カウンターの内外で酒場の喧騒や人情がリアルに交錯し、赤垣屋の空気感を象徴しています。

 赤垣屋といえば、何といっても名物「おでん」が有名です。その魅力の中核は、70年以上にわたって絶やすことなく継ぎ足されてきたダシにあります。鰹や昆布をベースにブレンドされたダシは、毎日具材から溶け出す旨味が加わり幾重にも味が重なっています。この“歴史の旨味”は、時を超えて店の味わいを守ってきた証しともいえるでしょう。ダシの香りが立ち込める店内では、定番の大根、卵、がんもどき、牛すじなど、ひとつひとつがしっかりと味の染みたおでん種が盛り付けられます。リピーターも多く、「このダシを一度味わったら他では物足りない」と語るファンも珍しくありません。

 また、赤垣屋のもう一つの魅力は、地元・天満の雰囲気を色濃く残している点です。高級感は必要なく、誰もが肩肘張らずに楽しめる空間。「今日はどの席が空いてるかな」と常連がカウンターを覗き込み、スタッフや隣の客と自然体の会話が始まる。酒場文化の原点とも言うべき賑わいと温かさが、赤垣屋では日常です。お酒のラインナップも安旨の定番を揃えており、ビールや焼酎、日本酒がどれも手頃な値段で楽しめるのがうれしいところ。小皿料理やおばんざいも充実していて、ふらりと一人で訪れてもすぐにお腹も心も満たされる工夫があります。

 戦後の混沌と、昭和、平成、令和と移ろいゆく街並みの中で、赤垣屋は“変わらぬ味と居心地”を今日まで守り抜いてきました。その店内で交わされる会話やふれあい、染み渡るダシの温かさは、単なる酒場の域を超え、地域の“社交場”として多くの人々に大切にされています。天満を代表する酒場のひとつとして、赤垣屋が愛され続ける理由は、まさにここにあるのです。

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