2025. 06 / 06 (金)
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Osaka
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【串かつだるま(新世界)】創業90年超、衣の極薄さと油温管理の職人芸は他店の追随を許さず。二度漬け厳禁ルールが下町文化を象徴する。

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 大阪・新世界といえば、立ち並ぶ串カツ屋台や芸人が名物の庶民的な繁華街。その中でもひときわ目立つのが、創業90年以上を誇る「串かつだるま」です。“元祖串カツ”とも称される同店は、1932年の創業以来、変わらぬ味とスタイルで地元民や観光客の心をつかみ続けています。

 串かつだるまの特徴を語るうえで欠かせないのが、その衣の極薄さです。一般的な串カツは衣がやや厚みを持ち、サクサクの食感を楽しむものが多いですが、だるまは「素材の味を活かす」ために、極限まで薄く伸ばした衣を使用。具材の旨味と絶妙な火通り、そして軽快な衣の食感とのバランスこそ、長年培われた職人芸そのものです。

 さらに、揚げの技術にも「だるま」ならではの矜持があります。油の温度は数℃単位で管理され、豚、牛、海鮮、野菜——部位や素材に応じて揚げ時間もミリ単位で調整。創業から受け継がれる手際と経験が、串カツ専門店の名声を不動のものにしています。

 もう一つ、だるまの文化を語る上で外せないのが「二度漬け厳禁」のルールです。卓上に設置された大きなソース容器に、揚げたての串を一度だけ漬け、たっぷりとソースをからめて味わうのが新世界流。二度漬けは禁止——これは単なる面白い決まりごとではなく、回し食い文化のなかで「衛生面を確保しながらみんなで共有する」知恵として生まれました。このルールを実際に体験することも、店を訪れる大きな楽しみの一つです。

 メニューには、串カツ(牛肉や豚肉)、エビ、レンコン、アスパラガス、うずら卵といった定番ものに加え、季節限定や創作系の一品も多数。どれもリーズナブルで、いくつ食べても飽きの来ない工夫が凝らされています。揚げたてを一気にほおばり、キリッと冷えたビールと合わせる時間はまさに大阪下町の醍醐味です。

 観光客はもちろん、地元の常連客からも「ここだけの味」と親しまれ、休日ともなれば行列ができる人気ぶり。創業90年を越えた今も、だるまは店主やスタッフの手で伝統を守り続けています。極薄衣と継承される職人技、下町の温かさが交差する「串かつだるま」は、大阪食文化を語る上で欠かせない一軒と言えるでしょう。

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