2025. 06 / 06 (金)
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【たこ梅(道頓堀)】創業170年以上、関西最古の関東煮屋。鯛ちくわや生姜天など隠れた名物も多い。

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 「たこ梅(道頓堀)」は、大阪市中央区道頓堀にある、創業170年以上という驚異的な歴史を持つ関東煮(かんとだき/おでん)専門店です。大阪に現存する関東煮の店として最古であり、全国的に見ても日本屈指の老舗とされています。江戸時代末期の安政元年(1854年)に創業されて以来、時代とともに街の姿や人々の暮らしが変わっても、たこ梅の関東煮は地元の人々や旅人に愛され続けてきました。

 たこ梅の最大の特徴は、170年以上にわたり継ぎ足されてきた秘伝の“だし”にあります。関東煮といえば東京風が有名ですが、たこ梅のだしはやや甘く深みのある色合いが特長で、昆布や鰹節など関西らしい旨味を追求し続けてきました。このだしは毎日新しい材料を加え、使い続けながら熟成を重ねています。“煮込み”としての絶妙なコクとまろやかさ、そして口に含むとほっとする優しい味わい。江戸時代の創業当時から受け継がれ、訪れる人々に「変わらない老舗の味」として認知されています。

 「たこ梅」の店名の由来は、創業当時、たこを串に刺して煮込む料理が名物だったことにちなみます。現代でも真だこ足の関東煮は同店の代名詞ですが、実は隠れた人気メニューも多彩に存在しています。そのひとつが「鯛ちくわ」。ふわっと焼き上げたちくわの中に、鯛の風味がほんのりと漂う逸品で、だしとの相性抜群です。また、「生姜天」はたこ梅ならではの一品。ほんのり甘い衣の中に刻み生姜が効いていて、だしをたっぷり含んだ状態で頬張ると、爽やかな辛みと出汁の甘みが絶妙に調和します。これらは店が長年試行錯誤し、常連客に密かに愛されてきた一皿たちです。

 道頓堀という観光名所のど真ん中に立地するにもかかわらず、たこ梅は伝統を重んじる一方で、時代のニーズにも柔軟に対応しています。カウンター席を中心とした設えで、一人でふらりと訪れやすい雰囲気。磨き抜かれた木のカウンター越しに、大鍋で煮立つ関東煮の数々を目の前に眺めながら、お酒を片手にゆっくりと味わう時間は、まさに大阪グルメの“粋”といえます。

 長きにわたり変わらない味を守る裏には、素材選びや下ごしらえに対する職人たちの徹底したこだわりがあります。たとえば大根やこんにゃくは毎朝丁寧に下茹でされ、衣や練り物も各地の専門業者から最良のものを仕入れています。こうした日々の積み重ねが、170年以上にも渡る信頼を築き上げてきた理由でしょう。

 大阪の食文化を象徴するお店として、「たこ梅」はこれからも多くの人に愛されていくことでしょう。歴史あるだしの旨味、遊び心を感じる隠れた名物、そして温かい接客が、道頓堀の一隅でいつでも待っています。

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