2025. 06 / 07 (土)
18.5 C
Osaka
- Advertisement -

【どて焼き】牛すじを長時間煮込むことで旨味が凝縮。味噌ダレレシピの進化系対決が繰り広げられ、酒好きの通を唸らせる逸品。

Date:

 「どて焼き」――大阪下町の粋と進化が凝縮された、酒好きの心をつかむ一皿

 屋台の喧騒がふっと和らぐ日暮れ時、暖簾の奥から漂ってくる濃厚な香り。その正体こそ、「どて焼き」である。庶民の味として親しまれ、今や大阪の食文化を象徴する存在となったこの一皿は、単なる牛すじの煮込みではない。長時間丹念に煮込まれ、旨味を極限まで引き出した牛すじと、進化を遂げ続ける味噌ダレ。この二つが絶妙に絡み合い、酒好きの通を唸らせてやまない。

 どて焼きの主役は、なんといっても牛すじだ。コトコトと何時間も煮込むことで、固かった牛すじの繊維がとろりとほどける。しかも、ただ柔らかいだけでなく、肉と脂の旨味がじっくり溶け出し、まさに一口ごとにコクが広がる。専門店では下処理にも余念がなく、臭みをしっかり抜く工夫や、タイミングを見極めた味付けなど、職人たちのこだわりがいたるところににじみ出る。

 この牛すじを包み込むのが、個性豊かな味噌ダレだ。赤味噌をベースとするのがオーソドックスだが、最近は店ごとに趣向を凝らした“進化系”レシピも登場している。八丁味噌のコク深さを追求したり、白味噌を加えてまろやかに仕上げたり、柚子や山椒のアクセントを活かしたものまで多彩だ。このレシピの多様化は、どて焼きが世代を超えて進化しつづけている証と言える。

 酒好きの通にとって、どて焼きは単なるつまみを超えた“ご褒美”だ。濃厚でありながらしつこさがなく、日本酒やビール、焼酎など、いずれの酒とも抜群の相性を誇る。とくに寒い季節、熱々のどて焼きをつまみに一献傾ければ、体の芯からぽかぽかと温まる至福のひとときを味わえる。甘辛いタレがじわっとしみ込んだ牛すじは、ひと口で幸福感が押し寄せること請け合いだ。

 さらに、どて焼きは地域を超えて独自進化を遂げている。大阪だけでなく、名古屋や神戸にも、その土地ならではの味噌や具材を使ったアレンジが存在する。ローカルな屋台から居酒屋の定番メニューに至るまで、どて焼きのバリエーションはますます広がっているのだ。

 庶民的でありながら、奥深い旨味と職人技が詰まった「どて焼き」。いまや大人の粋を感じさせる酒肴の決定版として、全国の“通”たちの注目を浴びている。一度その味を知れば、もうどて焼きの魔力からは逃れられない――そんな逸品である。

Share post:

購読する

- Advertisement -
- Advertisement -

新着情報

More like this
Ramdom