2025. 06 / 06 (金)
27.4 C
Osaka
- Advertisement -

【法善寺】水掛不動は夜明けの静寂が至高。苔むす不動像を囲む飲み屋街のコントラストは唯一無二。

Date:

 大阪ミナミの賑わいからわずかに逸れた先に、「法善寺」の水掛不動尊が静かに佇んでいます。この不動明王像は、昼夜を問わず多くの人々が水を掛けて願い事を祈ることから、「水掛不動」と親しまれています。不動尊は全身が分厚い苔に包まれ、長い年月を経た証しをその緑が物語っています。苔の絨毯のように覆われたその姿は都会の喧騒とは全く異なる静謐な空気を放ち、その前に立つと自然と背筋が伸びるような感覚に襲われます。

 とりわけ、夜明けの時間帯には法善寺水掛不動の「至高」ともいえる静寂が訪れます。まだ誰も参拝に訪れない午前の薄明かりの中、不動尊が湛える苔の緑はより一層鮮やかに映え、周囲を包む静けさとあいまって、都市の中心にあるとは思えないほどの荘厳さが漂います。わずかに水が流れる音、鳥のさえずり、遠くの足音だけが響くこの時間帯は、日中の喧騒や祈願者のざわめきとは一線を画す趣があります。

 法善寺周辺は古くから続く飲み屋街としても有名です。石畳の路地には老舗の居酒屋やバーが軒を連ね、夜になればネオンや提灯に誘われて人々が集い、華やかな賑わいを見せます。この飲み屋街の雑多な雰囲気と、苔むした不動明王の静かなたたずまいは、まさに「コントラスト」の体現と言えるでしょう。多くの人々が日常の喧騒を忘れ、不動尊に水を掛けて願いごとをする一方で、すぐそばでは酔客の談笑や笑い声が交錯する。それでも、法善寺の空間だけは不思議と守られており、参拝者は誰もが神妙な面持ちで手を合わせます。

 このように、法善寺水掛不動は、都市の喧騒と静謐、俗と聖、夜と朝といった対照的な要素がひとつの空間で調和する希有な場所です。夜明けの静けさの中で苔むした不動明王に向き合えば、心の奥底にある願いや思いと静かに向き合うことができる場所として、多くの人々の心に刻まれています。

Share post:

購読する

- Advertisement -
- Advertisement -

新着情報

More like this
Ramdom